筒井康隆〜七瀬三部作
 
 筒井康隆の昔の作品に七瀬三部作というのがあります。
 「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」という三つの作品の事を指すのですが、面白いんだこれが。中学の頃初めて読んでからずっと好き。他の筒井作品もいろいろ読んでみていいのもたくさんあったけどやっぱ一番好き。
 
 七瀬というテレパシー能力を持つ女性の物語なのですがそれぞれ簡単に紹介すると、
 
  「家族八景」・・・まだ10代の七瀬がお手伝いさんとして様々な家庭を渡り歩き、テレパシー能力で家族の隠された本音を覗き見ます。
  「七瀬ふたたび」・・・超能力者を抹殺しようとする謎の組織から、他の超能力者の仲間と共に逃げ回るお話。
  「エディプスの恋人」・・・高校の事務員になった七瀬がそこの男子生徒と恋に落ちるのですが、その少年の正体とは…。
 
  甚だ簡単ではありますが、こういった感じでそれぞれ全く雰囲気が異なります。
 
  「エディプスの恋人」は男子高校生と恋に落ちるという設定がわたし的に非常にツボな上に、宇宙だとか神だとかの話にいきなり拡がる点がやっぱ筒井康隆だなぁ〜って笑えたりします。
  「七瀬ふたたび」はハードボイルドなノリで笑える部分は無いのですが、七瀬と行動を共にする仲間の念動力や未来予知や時間跳躍の描写がとても興味深く描かれています。
 
 でも一番面白いのはやはり「家族八景」です。
 ここに登場する千差万別の家庭(お手伝いさんを雇える程度の経済力を持ってるという部分は共通してますが、DINKSのおしゃれな夫婦から子沢山のぐちゃぐちゃな家まで。それに世代も様々です)の設定といい描写といい表面と内面の落差といい、自分が主婦となった今読み返すと非常にリアルなのがわかります。
 美少女でありテレパスである七瀬がお手伝いさん(今風に言えばメイド?)として住み込むことによって壊れていく家庭も少なくありません。死んでしまう人、殺してしまう人、発狂してしまう人など…。そこに至るまでのそれぞれの心の動きが七瀬の視点から描かれます。主人公がテレパスである設定を最大限に生かした作品と言えるでしょう。
 
 性的な描写もあるのでさすがに小学生にはお薦めできませんが、筒井作品の中ではとても読みやすい部類に入ると思います。平凡な家庭の裏側を知りたい人は読んでみるといいかも。
 
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